私たちは長い間、環境という大きなテーマにこだわり、様々な不動産の土地利用計画のデザインを手掛けてまいりました。しかし、不動産売買において地主さんはご自分の土地の可能性や魅力を知らず、路線価や近隣の売買事例で不動産会社から売買価格の根拠を提示され、その価格を受け入れ売買の依頼をされている地主さんが多いと思われます。
しかし、どんな土地にも地主さんの想いがあります。その想いとは、新しい買主さんや近隣の方々から、慣れ親しんだ街並みを維持して、その後も喜んでもらいたいという願いです。
その願いを実現するには、その土地の本当の価値をご自分で知ることと、その願いを実現してくれる買主さん(人や企業)を見つけることが重要になります。そして、そのことが地主さんの大切な不動産価値を上げることにつながるのです。
すべてを解体し、平らな更地や擁壁だらけの土地にしてしまうのは簡単です。しかし、そのことにより、そこに流れた時間・思い出・歴史が失われてしまいます。またそこから時を刻み始めるのでなく、例えば何百年も見守ってくれた緑を数本残すことで、素晴らしい景観と新しい計画が融合し、そして時間でしか表現できない価値を生み、しかもこれからも育んでくれるのです。もちろんどんな物件でもできることではありません。物件にデザインを入れ、その物件の案内に可能性や魅力を伝承することは不動産売買の一番重要なところではないかという想いが私たちにはあります。
地主さんが土地を高く売りたいのは分かりますが、買い手は安く買いたいのではないですか?という問いもあると思います。しかし、デザインを入れた優良物件はそれだけの価値を生むものです。そして価値を生まない物件は意外と少ないのも事実です。その土地毎によってデザインは変わります。だからそれぞれの価値を生み出すのです。路線価などは一つの指標でしかないのです。